企業経営サポートセンター > 会社設立サポート部 > 会社設立後の手続き > 労働保険の加入
労働保険は労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険があります。
先に労働基準監督署の手続きをして、公共職業安定所(ハローワーク)で手続きをすることになります。 受付時間は午前8時〜11時、午後は1時〜3時までと通常の役所の開いている時間よりも短くなっています。土日と祝日は休みです。 労働基準監督署と公共職業安定所は別々の場所にあることも多いです。藤沢も以前は別々の場所にありましたが、現在は藤沢市役所のそばに労働合同庁舎の新しいビルができたので同じ場所にあります。
公共職業安定所へは同時に確認資料の提出を行います。原本も持って行き、提出できない書類についてはコピーを提出します。
労働保険料は労災保険料と雇用保険料があります。雇用保険料はさらに雇用保険分と雇用三事業分に分れます。労災保険料は全額事業主(社長)が負担します。雇用保険料については雇用保険分は事業主と従業員が半分づつ負担し、雇用三事業分は全額事業主負担です。 給与明細を見ると雇用保険分が天引きされているので、従業員も負担していることが分ります。 労災保険料と雇用保険料の額は支払った賃金の総額に一定の保険料率を掛けた額になります。
雇用三事業は能力開発事業などのことをいいますが、かつては特殊法人が行ってきました。現在は独立行政法人等が行っています。助成金の財源にもなっています。
労災保険の場合、建設業、一定の製造業・運送業、造船業、警備業、ビルメンテナンス業などはさらに高い保険料率が設定されています。事業の内容によっても保険料率は異なります。
労働保険の計算における賃金は毎月の基本給だけではなく、ボーナス(賞与)、住宅手当、家族手当、通勤手当、資格手当、技能手当、危険手当、宿直手当なども入ります。毎月の給与明細の支給項目に含まれるものは基本的に賃金に含まれるのです。ボーナスの支給明細を見れば分るのですが、しっかりボーナスからも雇用保険料の本人負担分は引かれています。 通勤手当も賃金に含まれるのは以外ですが、年金や健康保険の計算にも含まれます。遠距離通勤をしている人は多く保険料を支払わなくてはならないのです。多く払えばその分失業手当(基本手当)の支給額は増えます。年金の受給金額も多くなります。ただし税金の計算では通勤手当は非課税です。 労働基準監督署に提出する書類で労働保険料の金額を計算をします。納付は労働基準監督署で行います。郵便局等でも納付できます。納付先は神奈川労働局です。 労働保険料の納付は新規加入時にまとめて行います。支払う予定の賃金に保険料率を掛けた額を納付します。 次回の納付は原則年1回、4月1日〜5月20日までの間に行います。年度更新と呼ばれます。前年度の賃金総額をベースに保険料額を計算して納付します。前年度の保険料との過不足はここで調整します。 年度更新の時期になると「労働保険料の納付は5/20まで」といったポスターが張られます。電車の中にも張られていることがあるので見たことがある方も多いと思います。
労働保険は労働者災害補償保険(以下、労災保険)と雇用保険に分かれています。従業員の仕事中・通勤途中の事故や失業などに備えるものです。助成金受給の要件にもなっています。一般の事業では両方同時に加入することになります。建設業は別々の加入になります。 会社(法人)の場合、従業員を1人でも雇っていれば労働保険に加入する義務があります。従業員には正社員、契約社員、パート、アルバイトを問いません。もし従業員が仕事中にケガをした場合、短時間のアルバイトであっても労災保険から給付が下りるので無料で診察、治療などを受けることができます。 仕事中のケガで休業しなければならなくなった場合、会社は従業員に対して休業期間中の給料の6割を補償しなければなりません。これば労働基準法で定められています。仕事をしていない人に給料の6割を補償するのは大変なことです。しかし労災保険に入っていれば休業補償が支給されますから、会社としても従業員も安心です。 雇用保険では失業したとき以外にも一定の要件を満たせば資格取得などのために専門学校に通った場合の自己啓発学習にも給付を得ることができます。雇用保険は失業した場合のみに支給されるものではありません。会社の従業員の福利厚生のため、会社として万が一のリスクに備えるためにも必ず加入します。民間の保険会社の損害保険よりも得です。 労働保険は広い意味での社会保険の一種です。国が運営する保険事業のことです。狭い意味では社会保険は年金(国民年金、厚生年金等)と健康保険のことを指します。ここでは狭い意味での社会保険として、労働保険と社会保険は別個に説明します。
労災保険・雇用保険は社長のあなた様や経営陣の方は保険のなぜか対象外です。役員であっても労働者として働いていると認められるときは保険の対象となります。社長は仕事中に事故でケガをしても、労災保険の補償はありません。会社の経営から身を引いて引退して、別の職に就こうとしても仕事を探ししている期間に失業保険(基本手当)は下りないのです。 従業員ならば退職した場合には失業手当(基本手当)や再就職手当など要件を満たせば雇用保険から様々な給付を受けることができます。倒産やリストラなど会社都合による退職の場合は失業手当(基本手当)の支給日数が延長になるなどの手厚い支給を受けることができます。 日本には社長を守るものが少ない、ということができます。労災保険、雇用保険にしても社長には非常に冷たい制度です。労働基準法の労働時間は週40時間が原則ですが、これも社長は対象外です。社長は労働基準法の保護からも外されているのです。 せめて労働保険に入っているのならば、助成金で取り返すべきです。労働保険の給付の中でも助成金は事業主(社長)を支給対象としています。ただし助成金の受給には様々な要件があります。労働保険に加入することは、従業員保護と会社のリスク回避が重要ですから、助成金の受給目当てだけで加入することはおすすめできません。 助成金について詳しくは 助成金活用部 にどうぞ
労災保険は社長は対象外なのですが、それではあまりに不合理なので特別加入の制度があります。労災保険に特別加入していれば、仕事中に社長が事故でケガをしても労災保険の給付を受けることができます。雇用保険は社長は対象外です。 特別加入は労働基準監督署では取扱っていません。労働保険事務組合を通じて加入します。特別加入するには社長の経営する会社もその労働保険事務組合に事務処理を委託して労働保険に加入することになります。社長は特別加入はするが、会社は労働保険事務組合を通さない、ということはできません。 商工会議所や法人会、同業組合や事業団体も労働保険事務組合になっていますので、確認するとよいでしょう。事務組合に委託すると保険料の他に事務組合の年会費も徴収されます。月1,000円〜1,500円くらいとさほど高くありません。 個人企業などで事業主が1人で仕事を行っている場合もあります。建設業の請負などでは多くあります。1人で事業を行っている場合でも労働保険に特別加入することができます。専門用語では「1人親方」と呼ばれます。随分古めかしい言い方です。
労働保険事務組合に委託すると、例えば従業員が退職したときの離職票の事業主欄がの名が変わります。離職票の事業主欄には通常勤めていた会社の名前が記載されますが、事務組合に委託すると事業主欄が事務組合の名になります。 |
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