U 有限会社か、株式会社か


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どちらがお得か

 株式会社と有限会社の違いは実際に営業を継続していく上では、ほとんど変わりません。資本金が1,000万円以上集められるときは株式会社、300万円以上1,000万円未満を集めることができれば有限会社にする違いしかありません。(確認会社(1円)の場合は除く。)通常会社を設立する場合に必要な最低資本金は有限会社300万円、株式会社1,000万円です。

最低資本金額
株式会社  1,000万円
有限会社 300万円

 現在は確認会社(1円会社)制度ができて、要件を満たせば資本金1円からでも株式会社、有限会社を作ることができますから最低資本金を集める必要は必ずしもありません。
 対外的には株式会社の方が規模が大きいと思われるのでイメージだけ得かも知れません。会社を興す場合は夫が社長、妻が専務の場合や仲間で起業することが多いですから、より少ない資本金でできる有限会社の方がお得です。
 信用面では株式会社よりも劣ることはありますが、大きな会社でも有限会社と仕事の契約はしてくれます。株式会社である必要はありません。
 確認会社(1円会社)の場合は、設立から5年以内に最低資本金以上への増資が義務づけられていますから、増資のハードルが低い確認有限会社の方がお得です。ただし同じ資本金額でも株式会社組織にでできるのは大きなメリットです。
 余程大きな資本を集めて会社を設立するのではない限り、有限会社でも十分です。しかし資本金が1,000万円以上集められるときは株式会社にするべきです。(確認株式会社の場合は除く。)


手続きの比較

 設立時の手続きは有限会社の方が簡素化されています。作成する書類の数も少なくなっています。
 役員は有限会社の場合、取締役1名がいれば足ります。社長となるあなた様が取締役社長になればよいのです。株式会社は取締役3名、監査役1名が最低必要です。取締役の内から代表取締役1名以上を選任する必要があります。株式会社の場合、資本金が1千万円以上用意できても、役員となる人数を揃えなくてはなりません。最低4名必要です。
 有限会社は設立して役員に変更がなければ、ずっとそのままです。役員を変更したときに、役員変更登記を行えば良いのです。しかし株式会社の場合、取締役の任期は2年です。(設立時に定めた任期は除く。)2年たって変更がなくても何もしないで良いという訳ではなく、「重任」手続きをしなくてはなりません。法務局で登記するときには登録免許税もかかります。
 実際には何の手続きもしていない会社が多いのですが、5年以上役員の変更等をしていないと、法務局で休眠会社とみなされて整理されてしまう場合もあります。
 手続きの面からみても有限会社の方がより身軽な経営を行うことができます。

有限会社、株式会社比較表
有限会社 株式会社
取締役 1名以上 3名以上
監査役 1名以上 不 要
代表取締役 取締役の内から1名以上
不 要
役員任期 な し 取締役2年
監査役3年経過後の
株主総会終了まで。
株券発行 不要 必要(発行しないことも可能)
総会の招集 社員総会を1週間前までに
召集の通知
(社員全員の同意があれば
書面決議が可能。)
株主総会を2週間前までに
召集の通知が必要。
決算公告 不 要 必 要



費用の比較

 有限会社と株式会社の設立費用を比較してみましょう。設立時の費用でどちらがよいかを論じることはできません。会社は設立後が重要ですから、単に設立費用の面考慮して有限会社に、という理由だけではおすすめできません。

設立費用の比較
- 有限会社 株式会社
公証役場の費用 公証人手数料、印紙代 9万円 9万円
金融機関費用 金融機関により異なる 8千円位 3万円位
登記費用 収入印紙代 最低6万円 最低15万円
合  計 約15万8千円 約27万円

 登記費用は有限会社設立の場合の方が、9万円安くなっています。金融機関の費用(出資金払込保管手数料)は金融機関によっても異なりますので、一概に言えません。この手数料は有限会社でも株式会社でも一律最低○万円としている場合もあるので、依頼する金融機関によっては有限会社でも株式会社でも同額になります。


手続きはやっていない!?

 株式会社においては重任手続きをやっていない会社は多いと書きました。株式会社を運営していく上で他にも必要な手続きがありますが、実際にはやっていない場合が多いのです。株券の発行や決算公告です。
 株券は株式投資をしている方はおなじみだと思います。私達が売買するのは上場企業の株式です。株式を買っていて株券を自分で保管している場合もあると思います。
 日本の株式会社のうちほとんどは非上場企業です。非上場企業が株券を実際に発行している例はほとんどありません。株券は必ずしも発行する必要はありません。株主名簿に株券を発行しない旨を記載すればよいとされています。
 決算公告も上場企業以外は行っていないのが現状です。会社の定款には決算公告は官報にする、と記載されている場合が多いと思います。日刊紙でもよいのですが、官報の方が料金が安いから、官報でとなっているのだと思います。定款に記載されていても皆実際にはやっていません。ということはやらなくてよい・・!?ということなのでしょう。
 決算の発表は決算期の末日から2ヶ月以内とされています。上場企業は3月決算のことが多いですから、決算の発表は5月中旬〜下旬にすることが多くなっています。この時期の日経新聞には決算公告がたくさん載っています。決算公告の別冊も発行されています。
 本来の規定通りすべての株式会社が決算公告をしたら官報も日刊紙もパンクしてしまいます。あまりの量で官報が発行できないことにもなりかねません。世の中うまくできていますね!?

 株式会社ではこのように「本音と建前」が使い分けられています。有限会社ならばこのような義務はありませんから、決まりに沿って運営されていることになります。




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