第2章 人事  (採用・異動)


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 人の管理は事業を運営していく上で一番重要な事項です。たいていどの会社・法人の就業規則でも「総則」の次に「人事(採用・異動など)」の規定がきます。人事は従業員の採用から、異動までの在職中における事項について定めます。


第2章 人事 (採用・異動)

第5条(
採用

 採用試験に合格所定の手続きを経た者を社員として採用する。 
 使用者(事業主)は従業員を採用するか否かについて大きな裁量権を持っています。法令その他の特別に制約がない限り原則として自由に採用を決定できます。
 但し「男女雇用機会均等法」に違反する採用に際しての男女差別はできません。違反すると処罰の対象にもなります。
 実際の採用では年少者(18歳未満)は就業に関して制約が多いのでアルバイトとして雇う場合はともかく、18歳年度末以上の年齢に達している者(高校卒業時年齢相当)を雇うのが無難です。

第6条(試用期間

 新たに採用した者は採用した日から2ヶ月間を試用期間とする。但し会社が認めるときは
この期間を短縮し又は設けないことができる。
2 試用期間中に不適格と認められた者は解雇することがある。
3 試用期間は勤続年数に通算する。
 試用期間は設けた方が無難です。雇った従業員の能力は実際に働いてもらわないと分らないからです。試用期間だからといって、すぐに解雇できる訳ではありません。試用期間中の者で採用から14日以内であれば解雇予告や解雇予告手当の支払は必要ありませんが、14日を超えて使用された者については労働基準法の規定通り30日前の解雇予告又は解雇予告手当の支払が必要です。

第7条(提出書類

 社員として採用された者は2週間以内に次の書類を提出しなければならない。
(1)履歴書
(2)健康診断書
(3)身元保証書
(4)通勤届及び扶養家族届
2 上記の書類の記載事項に変更があったときはすみやかに届け出なくてはならない。
 「住民票の写し」や「戸籍謄本・抄本」を提出させることはできません。個人情報保護のためです。必要ならば「住民票記載事項証明書」を提出させることは可能です。「住民票の写し」と記載内容はたいして変わらないのですが・・・。
 採用にあたっては、家族・親族などの身元保証人をつけせさることもできます。この場合は身元保証書を提出させます。

第8条 (労働条件の明示

 社員の採用に際しては、本規則を交付するとともに、以下の事項に関し、個別に必要な事項については別に定める書面により明示する。
(1)労働契約の期間
(2)
 賃金の決定、計算、支払の方法、賃金の締切、支払の時期、昇給に関すること。
(3)
 就業場所、従事すべき業務
(4)
 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、超過勤務の有無、交替制勤務をさせる場合には就業時転換に関すること。
(5)
 退職に関すること。
(6)       その他就業に関し必要と認めた事項
 労働契約の期間や就業場所、従事する業務以外のことは就業規則に記載されているので、就業規則が交付されれば足ります。労働契約書を書面で作成する義務はありませんが、労働条件の明示や身元保証書を兼ねて作成します。
 労働契約書以外に雇用通知書を交付してもよいでしよう。これらの書類は助成金の申請の際に必要なこともあるので整備しておくことが必要です。


第9条(異動

 会社は業務上必要があるとは、社員の就業する場所又は従事する場所の変更を命じることがある。
2 会社は業務上必要がある場合は社員を会社に在籍のまま他の会社、法人に出向させることがある。
3 異動、出向を命じられた社員は正当な理由がない限りこれを拒否することは出来ない。
4 異動、出向を命じられた場合は指定された期日までに着任しなくてはならない。 
 人事異動配置転換は使用者の任意で可能です。人事異動は従業員にとって生活に大きな影響を与えます。異動を拒否できないように、誓約書を入社の際にとっておくことも必要です。但し無茶な人事異動や配置転換使用者側の報復人事などは避けます。異動は公平が原則です。
 出向に関する規定も入れましょう。出向は会社との雇用関係は維持されるので本人の同意は不要です。これに対し転籍は会社を変わることになるので本人の同意が必要です。


第10条(休職

 次の各号の一に該当するときは休職とする。
(1)業務外の傷病、事故によって1カ月(暦日で30日をいい、期間中の休日を含む)以上欠勤したとき。
但し一時出勤して1ヶ月以内に再び欠勤したときは前後の期間を通算する。
(2)公職についた社員で会社が必要と認めたとき
(3)労働組合の専従者となったとき
(4)出向を命じられ又は会社の命令により他の会社・法人・団体の業務に従事するとき。
(5)やむを得ない業務上の都合によるとき。
(6)本人の非行により刑事事件に関与し起訴された場合で必要があるとき。
(7)上記各号の他、社員がやむを得ない事情により願い出て会社が認めたとき。
 休職は雇用関係は維持したまま従業員を労働させない制度です。法律で休職制度が定められているのは公務員だけです。民間事業所の場合は就業規則で休職について必ず規定しておく必要があります。
 休職の主な理由は病気や怪我です。最近は心の病も増えています。古くからある病気の結核も珍しくはありません。又、社員が刑事事件で逮捕、起訴された場合も考慮しておきます。逮捕されただけでは、罪を犯したか確定していませんから、諭旨解雇、懲戒解雇等の処分を下すには無理があります。逮捕、起訴されて身柄の拘束が長引けば労働することはできませんから休職にしておきます。


第11条(休職期間

 前条の休職期間は次のとおりとする。
(1)前条第1号のとき 6ヵ月(結核のときは6ヵ月をさらに加える)
休職発令日についてはその事由が発生した日の翌日とする。
(2)前条第2号から第7号のときはその必要とする期間
 休職期間は従業員の勤続年数に応じて長短を定めてもよいでしょう。勤続1年未満は6ヵ月、勤続1年〜5年は1年、勤続10年以上の者は2年といった具合です。
 結核や生活習慣病、最近増加している心の病気の場合は1年以上の休職期間を定めます。


第12条(休職期間中の取扱
  休職期間中は賃金を支給しない。但し第10条の場合は除く
2 休職期間は勤続年数に加算せず、欠勤と同じ扱いとする。
但し第10条第3号、第4号の場合はこの限りではない。
 休職期間中は無給が普通ですが、有給とすることもできます。但し会社の命令による出向等の場合は賃金を支給します。
 公務員はおかしなことに休職でも給料が貰えるのです。働かなくてもお金が貰えるのだったら、まともに働くのがバカらしくなります。税金の無駄もいいところです。
 休職期間は労働組合専従や会社の命令による出向等のケースを除いて勤続年数には通算しません。この場合、退職金制度がある場合は休職期間は退職金の計算期間に反映されません。
 

第13条(復職

 休職期間中に休職の理由が消滅したときは復職をさせる。但し原職務に復帰させることが困難又は不適当な場合は異なる職務に就かせることがある。
2 第10条第1号の理由による休職をした者が復職する場合は会社の指定する医師の診断書を提出する。
 復職の条件が整った場合は復職させます。元の職務、役職に再び就かせるのか検討が必要です。病気休職の場合でも一定期間以上休職した場合は役職から外れると定めているケースもあります。
 病気、怪我による休職から復職する際には医師の診断書の提出が必須です。再び休職となっと場合の期間の計算方法は職場の事情により定めます。6ヵ月以内、1ヶ月以内などの場合もあります。


第14条(休職期間の中断

復職後1年以内に再び同じ原因で休職をしたときは前後期間を通算する。
 再び休職となった場合の期間の通算方法は職場の事情により定めます。6ヵ月以内、1ヶ月以内などとする場合もあります。




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