V 抵当で借りる


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抵当権設定

 設備資金を抵当権を設定して借りることもあります。根抵当権は企業取引において利用されますが、抵当権は企業取引においては不便であまり利用されません。1回設定してお金を借りられるのは1回だけだからです。継続して取引をする場合は使い勝手が悪い制度です。
 抵当権は個人の
住宅ローンを組む際に使われるのが代表的な例です。企業が土地を買ったりビルを建てた場合に設定することもあります。実際にはこれらのローンでも根抵当権が使われることがあります。根抵当権ならば一定の枠内で別の融資契約を結んでお金を借りることができるからです。
 抵当権の設定ためには、法務局で担保に入れる不動産についてその旨の登記することが必要です。あらかじめ登記した一定額(極度額)の範囲ならば何回でも融資を受けることができます。
 
 以下の例をもとに抵当権の設定についてみていきましょう。

抵当権設定の例
 金融機関名
 (抵当権者)
 しょうなん藤沢信用金庫
 (取扱店 大藤沢支店)
 担保提供者
 (抵当権設定者)
 小林 哲明
 債務者  有限会社 テツ建設
 債権額  2,000万円
 利 息  年4.5%
 損害金  年14.5%
 (有)テツ建設 取締役社長 小林 哲明
 個人が会社のために、土地を担保に提供。
 不動産登記申請書の記入は縦書きですが、サイト上では記入の便宜上横書きにしています。悪しからずご了承下さい。

登記申請書の作成

 上記の要件で(有)テツ建設社長の小林哲明が担保を提供して抵当権設定契約を結び、自分が金融機関から委任状をもらって登記をするケースについて見ていきます。

書式例
抵当権設定登記申請書  Word
※社長が担保を提供して自分で登記を行う場合。


@目的 
 抵当権設定とします。

A原因 
 抵当権設定の契約を金融機関と交わした日。契約書は金融機関が用意してくれるので、その契約書に記載された日付を記入します。「金銭消費貸借同日設定」と債権の範囲も記入します。

B債権額
 金弐千万円と記入します。融資を受ける債権額が2,000万円であることを示します。

C利息、遅延損害金
 利息や返済が遅れた場合の遅延損害金について記入します。日割りとする場合はその旨を登記できます。

D債務者
 お金を借りる側。上記の例の場合、有限会社 テツ建設です。登記簿上の会社の商号と本店所在地を正確に記入します。

E抵当権者
 お金を貸す側。融機関等のこと。登記権利者。契約書に記載されている通りに金融機関名と本店所在地を記入します。金融機関が抵当権者となる場合は取扱店を記入できます。
「しょうなん藤沢信用金庫(取扱店 大藤沢支店)」と記入します。

F抵当権設定者
 不動産の所有者のこと。登記義務者。土地を担保に提供します。

 申請は抵当権者(金融機関)と抵当権設定者(不動産の所有者=小林哲明)の共同申請の形をとります。それぞれ名義人の表示の下に印鑑を押します。
 実際には共同申請の形式をとることはまずありません。登記申請書の誤りの訂正や登記完了後の受取りにも双方の印鑑が必要になるので不便だからです。共同申請だと金融機関の印鑑を店外に持ち出さなくてはならないので、それはまず不可能です。
 自分で登記申請をする場合は金融機関からあなた様に代理人として委任状を出してもらえば、あなた様の印鑑のみで申請できます。まず金融機関の担当者に打診してみましょう。


添付書類

抵当権設定登記の添付書類
原因証書  金融機関との抵当権設定契約書。
 担保に入れる不動産の表示は登記簿
 通りに正しく記入する。登記が完了すると
 「登記済」と法務局が朱印を押してくれる。
登記済証  担保に入れる不動産の所有権を示す登記済証
 (権利証)のこと。
印鑑証明書 担保に入れる不動産の所有者の印鑑証明書。
 債務者の印鑑証明は不要。
(小林哲明個人の印鑑証明書が必要。)
代理権限証書 委任状。自分で申請する場合は金融機関からあなた様あてに
委任状を出してもらいます。別の第三者に頼むときは金融
機関とあなた様あてに2通必要です。
共同担保目録 建物と土地の2つの不動産を同時に担保に入れる場合
は必要。用紙は法務局でもらえる。


代理人
 
 自分が金融機関から委任状をもらって代理人となる場合は「設定者兼代理人」とします。又別の第三者に頼んた場合は単に「代理人」とします。代理人による申請の場合は代理人の印鑑のみで申請することができます。
 (代理人は家族、知人でもなれますが、業務として行うのは司法書士に限られています。)

登録免許税

 課税価格は設定額の金額です。上記の例の場合は「金弐千万円」と記入します。
 課税価格に所定の税率を掛けた金額が登録免許税の金額となります。収入印紙を登記申請書に貼付けして支払います。収入印紙は法務局内で販売しています。
 抵当権設定登記の税率は4/1,000です。
 計算すると 2,000万円×4/1,000=8万円 になります。

 一定の床面積の新築住宅を建てた場合に抵当権を設定してローンを組むときは、この税率が1/1000に軽減される特例があります。しかし残念ながら店舗や事務所の新築の際には適用されません。ただし床面積合計の90%以上が住宅である店舗兼住宅には適用されます。特例を受けることができる住宅は床面積合計が50平方メートル以上240平方メートル以下です。
 根抵当権を設定した場合には適用は受けられません。
  

登記完了後

 抵当権設定契約書の不動産の表示の所に法務局が「登記済」と朱印を押してくれて、返却してくれます。これは金融機関で保管するので登記完了後すぐに提出します。抵当権が設定されている限り保管されますので、長い場合は数十年間保管されることもあります。返済も済んで取引が終わったあとに初めて返してくれます。


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