第5章 労働時間  休憩・休日・休暇 


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 労働時間、休日は企業によって全く異なります。所定労働時間は1週間40時間、1日8時間が原則ですが例外規定もあります。休日は労働者にとっては一番?の関心事とも言えますが、土日が休みである必要はありません。企業の勤務体制によります。週休二日である必要もなく毎週水曜日のみとしても問題はありません。但し1週間の所定労働時間は40時間以内です。
 サービス業、飲食業、運輸業などの業種の企業ではシフト制・交代制の勤務で休日は土日、平日にかかわらず一定ではありません。この場合は1ヶ月単位又は1年単位の変形労働時間制などをとることになります。

 労働時間に関する規定だけではなく、この章では休日や休暇を含めて勤務について定められているので、章をさらに細分化して「第○節」としてもよいでしょう。


第1節 労働時間

第39条(
労働時間) 週休二日制、1日8時間労働の例

 社員の労働時間は、1週間40時間、1日8時間とし始業、終業の時間は以下の通りとする。
 但し業務その他の都合により労働時間を変更することがある。
始業 9時00分
終業 18時00分

 週休二日制、1日8時間労働の場合の典型的な例です。休憩時間は労働時間に含まなくてもよいので、拘束9時間、労働時間8時間としています。

第40条(時間外労働

 業務上必要があるときは第 条、第 条の規定にかかわらず、労働基準法第36条の規定に
より締結された協定の範囲内で早出、残業などの時間外又は休日就業をさせることがあります。
 時間外労働に関する規定です。この規定がないと時間外労働をさせることができません。時間外労働(いわゆる残業)をさせるには労使間で協定(三六協定)を結んで労働基準監督署に届出をする必要があります。


第41条(休憩

 休憩時間は正午から13時までとする。
2 休憩時間は自由に利用できる。但し外出する際は所定の手続きをとらなくてはならない。
3 生後1年に満たない乳児を育てる者があらかじめ申し出たときは、所属長の承認を得て勤務中に
1日2回、1回30分の育児休憩を与える。
但しこの時間の賃金は支払わない。
 
 休憩の規定は重要です。原則、休憩は職場の従業員全員が一斉にとらなくてはなりません。但しサービス業や飲食業などの一定の業種の事業所は一斉休憩の規定から除外されています。それ以外の一斉休憩が適用される事業所が一斉休憩の除外措置をとる場合は労使協定を結ばなくてはなりません。例えば電話番を1人職場に残すケースが該当します。
 育児をする従業員のための規定も入れておきます。就業時間中の育児時間の回数と時間は労働基準法の規定にならったものです。育児時間の給料を支払うかどうかは任意です。無給でも構いません。


第42条(非常時の特例)

 災害、その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には
この規定の定めにかかわらず、必要な業務に従事させ、必要な限度で労働時
間を延長し又は時間外労働、休日就業を命じることができる。
 災害時の勤務に関する特例です。災害時に会社が被害を受けたときの復旧作業などの労働を想定して決まりを作っておくのも良いでしょう。特に近年は異常気象ですから。
 その他、火災や事故などのときに備えて日直や宿直に関する規定を作っておく場合もあります。但し年少者や女性の保護を考慮する必要があります。

 

第2節 休日

第43条(
休日週休二日制の例

 休日は以下の通りとする。

(1)毎週土曜日、日曜日
(2)国民の祝日(5月4日を含む)
(3)年末年始(12月29日から1月3日までの6日間)
 休日は週2日である必要はありません。週に1日でも可です。祝日だから休日にする必要は全くありません。最近は祝日法の改正で祝日や連休が増えていますから、職場の仕事が回るように実態に即して休日を定める必要があります。土、日を休日としない場合は変形労働時間制を導入してシフト勤務、交替勤務としている事業所もあります。


第3節 休暇及び休業

第44条(
年次有給休暇

 年次有給休暇は勤続6ヵ月以上の者に対して付与する。その起算日は以下の通りとする。
4月1日〜9月31日入社の者 ・・・4月1日
10月1日〜3月31日入社の者・・・10月1日

2 起算日より6ヵ月経過した日における第1回目の年次有給休暇の付与日数は10日とする。以降1年を経過するごとに1日加算し、3年経過後は2日を加算する。
但し付与日数は20日を限度とする。
3 有給休暇は起算日前1年間(初回付与時は6ヵ月間)に全労働日の8割以上出勤した者に
与える。但し初回起算日において勤続6ヵ月未満の者については入社前の期間については出勤したものとみなす。
4 年次有給休暇は半日又は1日単位で取得する。
5 年次有給休暇は起算日以後2年間有効とする。
 有給休暇の規定は複雑です。法律に定められている日数は最低限ですから、この日数以上を与えても構いません。法律では6ヵ月以上継続して勤務し出勤すべき日数の8割以上勤務した者に10日与えるとしています。但し6ヵ月勤務していなくても有給休暇を与えることは可能です。例えば2ヶ月の試用期間を終えた者には3日の有給休暇を与えるとしている企業もあります。
 有給の計算上、
起算日を設けると管理がしやすくなります。従業員の数が増えると、いつから有給休暇の権利が発生するのか、分らなくなります。有給休暇の個別管理ができるのは10人くらいまでです。
 勤務年数に応じて何日有給休暇を与えるかも自由です。実際は法律で規定する10日以上20日未満のことが多くなっています。

 有給休暇の取得単位も定めます。1日単位だけでなく、半日単位でも取得できる規定をさだめても構いません。
 有給休暇の
消滅時効は2年です。その年の分の残日数を翌年度まで持ち越すことができます。企業によっては時効を設けずに退職するまで持ち越しできる制度をとることありますが、実際の例はほとんどありません。


第45条(年次有給休暇の請求

 年次有給休暇を請求するときは前日までに所定の書面にて所属長に届け出る。
2 年次有給休暇は本人から請求があった時季に与えられる。但し事業の都合により
やむを得ないときはその時季を変更することがある。
 有給休暇は原則として本人の希望する日に取得することができます。ただし「時季指定権」といって業務上の必要があるときは使用者が取得する日を変更することができます。法律の文章では「時季」となっていますが、有給を取得する時期、期間、日にちのことです。


第46条(出勤率計算

 年次有給休暇付与の基礎となる各勤務期間における出勤率が8割未満の場合は
当該期間における年次有給休暇を付与しない。
2 前項の出勤率の算定において、次の各号に掲げる期間はこれを出勤とみなす。
但し虚偽の申告を行った場合は欠勤とみなす。
(1)業務上の傷病による休業期間
(2)育児・介護休業法に基く休業期間
(3)産前産後の休業期間
(4)年次有給休暇の取得日
 就業すべき日の出勤率が80%以上の者には有給休暇が与えられます。社員の場合、業務上ではない傷病で療養している等の場合を除きほとんどの者が該当します。
 出勤率の日数に算入する日について規定しています。有給休暇を取得した日は出勤したと見なされるので、当然有給休暇を計算する上での「出勤すべき日」に入ります。
 
虚偽の申告の場合は欠勤として有給休暇の計算の基礎に算入しない旨も定めます。


第47条(年次有給休暇の計画付与

 年次有給休暇の計画付与については手持ちの年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分の内、
5日を充当する。その目的は連続休暇とする。
 有給休暇の計画付与という制度があります。会社で一斉に夏休みを取る場合に使われます。有給休暇は最低5日までは個人の自由に使えます。それを超える手持ちの有給休暇を事業所で計画的(強制的)に取得日数を決めて有給休暇を取らせて休ませることができます。手持ちの有給休暇の日数が5日しかない者に取得させることは出来ません。
 名目は夏季休暇、連続休暇、リフレッシュ休暇、アニバーサリー休暇など様々です。


第48条(慶弔休暇

 社員が次の各号の一に該当したときは慶弔休暇(有給)が与えられる。
(1)本人が結婚するとき 6日以内
(2)配偶者が分娩したとき 1日
(3)本人の父母、配偶者、祖母が死亡したとき 本人が喪主の場合は7日以内 本人が喪主ではない場合は5日以内
(4)兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母が死亡したとき 本人が喪主の場合は5日以内 本人が喪主ではない場合は3日以内
(5)その他の親族(3親等以内)が死亡したとき 1日
2 前項各号の慶弔休暇は連続した日数を取得するものとする。
 慶弔休暇について定めます。休暇の内容について細かく規定する場合には「慶弔休暇規程」などの名称で別規則にしてもよいでしょう。
 休暇の日数は各会社、事業所によっても異なりますが、取得できる日数はほぼ同じです。有給なのか、無給なのか、分割して取得できるのか、連続した日数ですべて取得しなければならないのか等休暇の取扱いについても定めます。


第49条(生理休暇

 生理日の就業が著しく困難な女子が請求した場合には生理休暇を与える。
 女性保護のため生理休暇の規定は必ず入れます。日数を定めることは出来ないとされています。本人の請求により有給休暇としても無給としても構いません。


第50条(産前産後の休業)

 出産前の女子は出産の日も含め産前6週間以内(多胎妊娠の場合は14週以内)、出産日を除き産後8週間の休業を与える。但し産後6週間を経過した者が就業を求めた場合で医師が就業に支障がないと認めたときはこの限りではない。
2 妊娠中の女子社員が請求したときは他の軽易な業務に転換させる。
 産休と呼ばれます。産前は本人が望めば出産まで6週間を切っても就業が可能です。しかし産後は本人が希望しても最低6週間は就業は禁止です。
 妊娠中の女子社員の業務の転換に関する事項も入れてより働きやすい職場環境を整えます。(法律には規定されているのですが実際には就業規則で規定していない又は実は受け付けていない会社もあります。)


第51条(母性健康管理のための休業)

 妊娠中又は出産後1年を経過しない女子社員から請求があったときは、所定労働時間内において、母子保健法に基づく保健指導又は健康診査を受けるための通院休暇を次の範囲で与える。
(1) 産前の場合
妊娠23週まで 4週に1
妊娠24週から35週まで 2週に1
妊娠36週から出産まで 1週に1
 但し医師又は助産婦(以下、医師等という。)がこれと異なる指示をしたときには、その指示により必要な時間を与える。
(2) 産後(1年以内)の場合
医師等の指示により必要な時間
2 
妊娠中又は出産後1年を経過しない女性社員から、保健指導又は健康診査に基づき勤務時間等について医師等の指導を受けた旨の申出があった場合、次の措置を講ずる。
(1) 妊娠中の通勤緩和
 通勤時の混雑を避けるよう指導された場合は、原則として1時間の勤務時間の短縮又は1時間以内の時差出勤を行わせる。
(2)
 妊娠中の休憩の特例
 休憩時間について指導された場合は、適宜休憩時間の延長、休憩の回数の増加を行う。
(3)
 妊娠中又は出産後の諸症状に対応する措置
 妊娠又は出産に関する諸症状の発生又は発生のおそれがあるとして指導された場合は、その指導事項を守ることができるようにするため作業の軽減、勤務時間の短縮、休業等を行わせる。
 妊産婦健康配慮指針による規定です。保健指導、健康診断のための休業について規定します。


第52条(休暇等の請求)

 第48条から第51条までの休暇を請求するときは、あらかじめ所定の書面にて所属長に行うものとする。但し
やむを得ない事情により事前に届け出ることができない場合は事後すみやかに届け出を行うものとする。
2 前項の休暇の請求において虚偽の申告をしてはならない。
 虚偽申告を禁止する一文も入れています。必要に応じては結婚休暇の場合は式場の予約書、招待状、婚姻届受理証明書(結婚証明書として戸籍謄本を提出させることは不可です。)等を、忌引による休暇の場合は会葬礼状等を提出させる決まりを作ることもあります。
 1人で何回も結婚をする場合の取扱は??


第53条(休暇等期間中の賃金)

第49条、第50条、第51条の休暇等についてはその期間中の
賃金については支給しない。
 生理休暇、産前産後の休業、母性健康管理のための休業については無給のことが多くなっています。


第54条(育児休業等)

育児休業等に関する事項は別に定める。
第55条(介護休業等)

介護休業等に関する事項は別に定める。
 育児・介護休業は「休暇」に該当するので、就業規則で必ず規定しなくてはなりません。本規則の記載するのには量が多いので別規則にしています。
 介護休業は対象者が育児休業と異なります。介護休業制度は従業員が請求した場合には、会社は必ず取得させなくてはならない義務を負うようになりました。
 育児・介護休業法により就業規則の作成義務がない常時10人未満の事業所でも一定の事項定めを従業員に周知しなければなりません。就業規則を作らなくて(よい企業)も育児・介護休業については決まりを作成しなければならないのです。

 一定の事項は
  • 労働者の育児休業中の待遇
  • 職場復帰後の賃金、配置、その他労働条件に関する事項
  • 予定より早く育児休業が終了したことによる職場復帰の時期に関する事項
などです。

 育児休業の場合は99%は女性が取得しています。介護休業については男性が取得するケースも多くなると予想されます。少子高齢化、晩婚化の影響により、例えば独身の1人息子が年老いた母を介護することも考えられます。
 もっともこの不景気で職の無い時代にそこまですることは難しいのですけど。

 育児・介護休業の期間中は無給が一般的です。但し給料を支払うことは使用者の任意です。社会保険料の負担については事業主負担額、労働者負担額共に免除されるようになりました。
 厚生年金の保険料については納付したと見なされ、育児・介護休業期間中の加入期間に空白が生じたり、将来の年金額が減ることはありません。
 
 



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